職種について

介護系の仕事・職種

施設や病院の介護職(ケアワーカー、ケアスタッフ、介護職員、介助員)

高齢者福祉施設や障害者福祉施設などの社会福祉施設、老人保健施設や療養型病床など病院や医療施設で働く介護職は、高齢者や障害者の日常生活の自立を支援するサービス提供の中心を担う職種です。食事や入浴、排泄、衣服の着脱や移動など、利用者の生活全般にわたって必要な援助を行います。また、散歩や買い物を援助したり行事やレクリエーションを実施することや、利用者の家族に介護方法のアドバイスを行うことも大切な仕事です。

訪問介護員(ホームヘルパー)

訪問介護員は、在宅の高齢者や障害者宅を訪問して、介護サービスや生活援助サービスを提供する職種です。介護サービスとは食事や入浴、排泄、衣服の着脱や移動などの支援です。生活援助サービスとは、調理、洗濯、掃除、買物などの援助や代行です。利用者本人や家族への精神的ケアを行うほか、家族に介護の技術的な指導を行うことも大切な仕事となっています。
在宅生活の支援は、さまざまな専門職や機関によるサービスを組み合わせて行われます。そこで訪問介護員も単に自分に与えられた仕事を行うだけでなく、他職種の業務や各種の制度についての基本的知識や連絡・調整能力も求められるようになってきています。
なお、訪問介護員の介護保険制度における正式な名称は「訪問介護員」です。
ホームヘルプ事業は、介護保険制度あるいは障害者総合支援法等にもとづいて運営されています。
訪問介護事業を実施している法人はさまざまで、市町村社会福祉協議会、その他の社会福祉法人に加え、医療法人、株式会社等営利法人、生協、農協、NPOなどがあります。

保育系の仕事・職種

保育士

児童福祉施設で、子どもたちの保育にあたるのが保育士です。
子どもの保育を行う代表的な職場は保育所で、保育士の9割が保育所で働いています。
保育所での保育士の仕事は、子どもたちに食ベる、眠る、排泄するなどの基本的な生活習慣を身につけさせるとともに、遊びの面からは集団活動を通して社会性を養うことです。また子育てについてのアドバイスを行うことも大切な役割です。
最近の保育所には、産休明け保育、乳児保育、障害児保育、延長保育、夜間保育などの多様なサービスの提供や、地域の子育て支援の役割も期待されるようになっており、保育士の仕事も拡大してきています。
保育所以外の児童福祉施設である乳児院、児童養護施設、児童自立支援施設、障害児施設でも保育士は活躍しています(児童自立支援施設の保育士にあたる人は 児童生活支援員と呼ばれています)。2006年10月より、保育園と幼稚園の特徴を生かした認定こども園もスタートしています。
乳児院や児童養護施設は、子どもたちが生活する施設なので、子どもたちの親代わリとして起床から就寝までの生活全般の世話や、教育、しつけ、社会的な自立の援助など「養護」の側面が強くなります。障害児のための施設では介護・援助・指導などの側面が、また児童自立支援施設では教育・ 指導・保護・更正などの要素が含まれてきます。
これらの施設では子どもの家族への連絡、学校や児童相談所など関係機関、地域との連携も大切な仕事になっています。

児童の遊びを指導する者

「児童の遊びを指導する者」とは従来は「児童厚生員」と呼ばれていた職種です。
児童館、児童センターなどの児童厚生施設で遊びを中心に指導を行い、児童の自主性や社会性・創造性を高め、地域で児童が健全に育つよう援助します。子ども会や母親クラブなど地域の団体の活動も支援します。

相談援助系の仕事内容

利用者への相談援助や関係機関との調整を行う職種です。
相談援助の専門技術を活用しますから総称してソーシャルワーカー、ケースワーカーなどと呼ばれることもありますが、分野によって仕事の範囲、法令上の名称 が異なります。また、各職場で仕事の範囲や役割が違ったり、独自の呼称が設けられていることも多くあります。
この分野の共通の国家資格としては社会福祉士資格があります。また社会福祉主事任用資格も広い分野で基礎資格として求められている一方、資格要件が定められていない分野もあります。
特定分野の資格としては、精神保健福祉士(国家資格。福祉分野では精神障害者関係施設・事業所)、介護支援専門員(ケアマネジャー。介護保険事業を行う高齢者関係施設・事業所)があります。

生活相談員、生活支援員

主な職場は、高齢者福祉施設、障害者支援施設です。
介護職員が配置されている施設では1~2名と配置が少なく、利用者の方の相談援助のほかに、入退所の手続きや家族との連絡調整、サービス計画立案などを主業務としています。
介護職員が配置されていない施設では、直接利用者の生活援助や訓練にあたります。

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員は、要介護者等からの相談に応じ、適切なサービスが受けられるようケアプラン(介護支援計画)の作成や、連絡調整を行う職種です。
職場は、居宅介護支援事業所や地域包括支援センター、介護保険事業を行う高齢者施設・居宅サービス事業所です。

 

職業指導員、就労支援員

職業指導員や就労支援員は、就労移行支援や就労継続支援を行う事業所に配置されます。
利用者の希望や適性に合わせてパソコン、印刷、木工や農園芸などの技術を指導、援助するなど、職業上の技術を習得させる訓練、指導を行います。

児童指導員

児童指導員は養護施設、母子生活支援施設、障害児施設などで生活する子どもたちを援助、育成、指導する職種です。
児童の指導・育成計画の企画立案、施設内の調整、親や学校、児童相談所との連絡などの連絡調整業務を行いますが、実際の仕事を行う中では、保育士との役割は明確には分けられてはおらず、子どもたちの年齢や能力に応じて社会的な生活力を身につけられるように、保育士と協力して生活全般の支援(生活習慣を身につけること、学習やスポーツ活動など)を行います。
また、関連する職種として児童自立支援施設に児童自立支援専門員が配置されています。

母子指導員

母子指導員は、母子生活支援施設に配置され、母子の自立促進を目的として、個々の母子の就労、児童の養育などに関する相談・助言、福祉事務所や児童家庭支援センター、公共職業安定所、学校、児童相談所などの関係機関との連携を行います。

医療ソーシャルワーカー、精神医療ソーシャルワーカー

医療ソーシャルワーカー(MSW)は一般病院、精神科医療ソーシヤルワーカー(PSW)は精神病院を主な職場とするもので、患者さんが安心して医療を受けられるように、経済的な不安や、家族との関係などについて相談援助を行います。

保健医療系の仕事内容

保健医療系の職種には次の職種があります。配置される分野は職種によって異なります。

  • 看護師
    ほぼすべての対人サービス分野に配置が規定されています。
  • 理学療法士、作業療法士
    多くの障害児・者施設に配置されています。高齢者関係の施設では配置は規定されていませんが、施設によっては独自に配置しています。
  • その他セラピスト(言語聴覚士、視能訓練士、義肢装具士、心理職)
    これらは、他の保健医療系の資格に比べ職域は限られます。ごく一部の施設に配置が規定されている場合と、配置の規定はなく各施設や自治体等との判断で雇用されている場合があります。

看護師

看護師はほとんどすべての分野の社会福祉施設、在宅サービスの事業所で働いています。
施設、在宅いずれの場合も、高齢者や子ども、障害をもつ人々の健康管理や疾病治療、衛生管理を行い、利用者の健康を医療の面から支える役割は共通しています。
そのうえで、福祉施設では施設全体の医療機関との調整や衛生管理の責任を担い、医療知識や衛生管理についての他の職員への研修なども行います。在宅サービ スでは、医療施設がない在宅での健康管理のアドバイスを行うことや、在宅生活を支えるための適切なサービス提供をコーディネートすることから、相談援助の 技術が求められ、ほかの分野の専門職や援助機関との連携も重要な仕事になります。
このように、福祉分野での看護職には、看護職としての知識や技術をもとに、利用者やその家族が生活場面での健康管理ができるよう相談助言をする力、他の専門職と協働する力がより求められるといえます。

理学療法士、作業療法士

理学療法士(PT/Physical Therapist)は、何らかの原因で身体の機能に障害をもった人に、筋力の増強などの運動療法、温熱・電気などを使った物理療法を中心に施し、日常生活を送るうえでの基本的な動作能力の回復や機能低下の予防を図ります。
作業療法士(OT/Occupational Therapist)は、何らかの原因で身体の機能に障害をもった人に、工作や手芸などの作業、生活動作の訓練などを通じて、機能の回復や機能低下の予防を図ります。

このようにそれぞれの専門領域は異なりますが、福祉施設では、医療型障害児入所施設、障害者支援施設などにいずれかの配置が規定されています。
また、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンターなどの老人福祉施設でも施設によって配置している場合があります。
介護職員や相談員・支援員等他の職種と連携しながら、生活場面のなかでの日常生活動作訓練、作業訓練、ケアプランの策定などの役割を担います。

言語聴覚士(言語療法士)

言語聴覚士は、何らかの原因で言語障害や難聴、失語、言語発達遅滞など言語・聴覚の障害をもつ人に対し、専門的な訓練・指導を行い、機能回復や障害の軽減 を図る専門職です。従来、言語療法士(ST/speech therapist)と総称され、「臨床言語士」、「医療言語聴覚士」などの名称でいくつかの業界団体が認定していた資格でしたが、1997年12月に言語聴覚士法が制定され、国家資格に位置づけられました。
社会福祉施設で言語聴覚士の配置が規定されているところは、医療型児童発達支援センター・障害者支援施設です。

義肢装具士

義肢装具士は、何らかの障害で失った手足の機能の代わりをする義肢、コルセットなどの治療を目的にした装具を製作し、利用者が日常生活をおくるうえで必要な機能の補完を図り、社会復帰を促進するリハビリテーションを行う専門職で、国家資格です。

多くの義肢装具士は義肢装具の製作会社に所属しており、病院、リハビリテーション施設、肢体不自由児施設などに出向いて利用者の相談にのり、医師の処方のもとに義肢装具製作のための設計、製作、さらに適合などのアフターケアも行います。
社会福祉施設では、補装具製作施設で配置が規定されています。

視能訓練士

視能訓練士は、斜視や弱視など、見る機能(視能)に障害をもつ人に、機能回復のための視機能検査と視能矯正訓練を行う専門職で、国家資格です。

視能訓練士の職場は、多くが病院やリハビリテーションセンターなどの医療機関で、保健所、学校などにも勤務している場合があります。社会福祉施設では配置は規定されていません。

心理職

社会福祉関係では、児童相談所、婦人相談所、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所などの行政の相談所、障害者支援施設で心理職(心理判定員)の配置が規定されています
相談面接等を通じた対象者の心理状況の把握・判断や、個々人への心理的な療法等を行います。

栄養・調理系の仕事内容

ほとんど全ての分野の社会福祉施設には、栄養士、調理員などのスタッフが配置され、利用者ひとりひとりの健康状態、障害の状況等にあわせた彩りある食生活を支えています。

栄養士

栄養士は、献立の作成、食材の発注、調理員に対する栄養に関する知識の向上などの指導、給食施設の衛生管理、利用者の食生活の改善や指導にあたります。

調理員

調理員は、栄養士の作成した献立により実際の食事づくりにあたり、利用者に食べる楽しみを提供します。一度に多量の食数を作る点が違います。
材料の仕込みや味付け、大型の調理器具の使用など大量給食ならではの知識や技術が求められます。
また、飲み込みづらい、むせやすい方などのために、その人の状態に合わせた食べやすい調理方法を工夫します。

管理・運営系の仕事内容

施設長

ほぼ全ての社会福祉施設の管理者として施設長を置くことが定められています。
施設長は施設のサービス提供や財務管理、対外的な折衝など、施設全般の運営・管理に責任をもち、経営理念やサービス目標の実現・達成を図るうえでのリーダーシップをとる、施設運営の舵取り役です。

事務職

ほとんど全ての社会福祉施設に事務職が配置され、経理や庶務等の仕事にあたっています。経理では地方自治体への運営費の請求、財務管理、職員の給与事務などの業務があります。また、庶務では文書の作成、発信・授受、管理、施設設備の維持管理など多岐にわたります。

その他

ほかにも施設を管理、維持していくためにボイラーの管理や洗濯、清掃、また、通所サービスの利用者を送迎するための運転や夜間の宿直などの多くの仕事があります。こうした仕事を担当する人の職名や採用条件は職場によってさまざまです。非常勤職員として採用する場合も多くなっています。

福祉行政系の仕事内容

福祉事務所

福祉事務所は国や地方自治体が行う社会福祉サービスについての第一線の相談機関です。市区町村と都道府県が設置主体となり、市及び郡部に置かれています。
生活保護、高齢者、児童、母子、身体障害、知的障害などに関する福祉サービスの相談に応じるほか、分野によってはサービス利用開始の決定、調整などを行います。

福祉事務所には、相談員、現業員、老人福祉指導主事、知的障害者福祉司、身体障害者福祉司、査察指導員などが置かれています。

児童相談所

児童相談所は、児童の養育、保護、育成などについての相談にあたる第一線の相談・判定機関です。都道府県が設置主体となり全国に設置されています。
福祉事務所、児童福祉施設、学校、児童委員などと連携し、要保護児童の判定、一時保護、施設入所の決定などを行います。

児童相談所には、児童福祉司、相談員、査察指導員、心理判定員、医師等が配置されています。

身体障害者・知的障害者更生相談所

都道府県・政令指定都市が設置主体となり、都道府県・政令指定都市に設置されています。
障害者本人や家族からの相談に応じ、専門的な判定、指導、社会福祉施設の入所の調整、判定などを行います。

身体障害者福祉司、心理判定員、職能判定員等が配置されています。

女性相談支援センター(旧:婦人相談所)

都道府県が設置主体となり、設置されています。
暴力被害やその他の理由により保護を要する女性のために、各種相談、調査、判定や、一時保護などの措置、就労、社会福祉施設等の活用の支援等を行います。

相談員、心理判定員等が配置されています。

社会福祉協議会の仕事内容

福祉活動専門員、ボランティアコーディネーター、地域福祉活動コーディネーター

地域社会で暮らしていくうえで人々に共通の生活課題、福祉課題に地域社会自らが組織的に取り組み、解決に結びつけていく過程を支援する専門職員で、地域住民からのさまざまな相談や、調査活動によって地域の福祉課題を把握し、課題解決に向けた広報や組織活動、ボランティア活動など住民の主体的な福祉活動の支援、新たな福祉サービスの企画・実施と評価など、その仕事は「福祉のまちづくり」の推進役として多岐にわたります。
「福祉活動専門員」と呼ばれる場合もあります。

在宅福祉サービスの介護職員や相談援助職員

在宅の高齢者や障害者を訪問して、直接サービスを提供するホームヘルプサービスや入浴サービス、昼間に在宅の高齢者や障害者を受け入れて、入浴やレクリエーション、リハビリテーションなどのサービスを提供するデイサービス、在宅介護サービスのコーディネートや家族への介護指導を行う在宅介護支援センター、在宅で医療的なケアが必要な高齢者や障害者を訪問して看護を行う訪問看護ステーションなどがあり、部門・職種によって必要な資格が異なります。

事務職

経理・事務などにあたる事務職は、直接サービス提供にあたることはありませんが、社会福祉協議会運営上不可欠な職種です。

PAGETOP